Globe (アルバム)
『globe』(グローブ)は、小室哲哉プロデュースによりデビューしたglobeの1枚目のフルアルバム。1996年3月31日発売。レーベルはavex globe。
『globe』 | ||||
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globe の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
tetsuya komuro sequence 1102st, 1103st & 1104st RECORD PLANT STUDIOS S-1, S-4 (L.A.) IMAGE RECORDING INC. (L.A.) A&M RECORDING STUDIOS (L.A.) HITOKUCHIZAKA studio (KAWAGUCHIKO) WOODSTOCK KARUIZAWA RECORDING studio | |||
ジャンル | J-POP | |||
時間 | ||||
レーベル | avex globe | |||
プロデュース | 小室哲哉 | |||
チャート最高順位 | ||||
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ゴールドディスク | ||||
グランプリ・アルバム賞(邦楽)[1] | ||||
globe アルバム 年表 | ||||
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『globe』収録のシングル | ||||
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目次
背景
デビューシングル「Feel Like dance」から5thシングル「FREEDOM」までの5曲の大ヒットシングルを収録したglobeのデビューアルバム。
小室は「僕の音楽活動の中で得たもの全てを投入しました。最初の0秒から57分03秒までアルバムのどこを切り取って聴いて頂いても、恥ずかしい所はありません」と断言するほどの自信を見せていた[2]。
オリコンにおいて、初週(集計された日は発売日の3月31日のみ)と2週目でそれぞれ100万枚以上を売り上げ、発売2週目で売上200万枚を突破、5週目には300万枚を突破する。いずれも当時の最速記録である。また、2週目の売上としては歴代最高となる105万枚を記録している。1996年5月、当時オリコンにおけるアルバムの歴代最高売上記録を保持していたMr.Childrenの4thアルバム『Atomic Heart』の累積売上343万枚を突破して記録を更新する。1996年6月、日本レコード協会から4ミリオンの認定を受けた最初の作品となった[3]。1997年2月にはオリコン史上初となるアルバムセールス400万枚を突破した。発売元のエイベックスによる売上枚数は1997年4月26日までの時点で455万枚[4]。オリコン集計では413.6万枚で歴代アルバム売上7位、オリジナルアルバムに限れば宇多田ヒカル2作品に次ぐ日本歴代3位の売上記録となる。
第38回日本レコード大賞アルバム大賞受賞[5]。
「GONNA BE ALRIGHT」「MUSIC TAKES ME HIGHER」はクラブ向けのリミックスを施したLP盤として発売する予定があり、実制作がされていたが発売されなかった[6]。
結成当初は世界展開を意識していたが、本作の制作と周囲からの反応は「日本市場に向けた20世紀の日本人の音楽」にメインコンセプトにする切っ掛けになった[7]。
2016年12月21日に96kHz/24bitのハイレゾリューションオーディオとして鈴木浩二氏の手によりリマスタリングされ配信リリースされた[8]。
初回限定盤のみ特殊プラスチックケース仕様のポスター型ブックレットとなっている。
録音
1996年2月末日の段階でリードシングル「FREEDOM」とアルバム用の楽曲が出来てなかったため、軽井沢のスタジオで10日間スタジオに寝泊まりしながら、残りの楽曲を完成させた。その間は3人が同じ部屋にいながら、同じテーマを共有していた。閃きで浮かんだメロディを元に小室が仮歌を歌いながら曲を作っている間に、MARCがラップ詞を集中して15分で書いて、その間にKEIKOが小室の仮歌を聞きながら展開を覚えて、レコーディングに入ることを繰り返すことで楽曲のクオリティを作り込むことに集中し、曲順は最後の3日間でまとめた。合宿初日の夕食の際に小室はチーフ・マネージャーとして伊東宏晃を指名し、約2年間活動を共にした[9][7][10]。
ギターを担当した松尾和博は「globeがどんなプロジェクトなのか」「どのパートでどんな音・ボーカル・ラップが入るか」を知らされていなかったため、「何も入れない状態で渡せない。採用されるかどうかわからないけど、とりあえず入れておけ」という思いから、即興で大量のテイクを部分別に録音した[11]。
音楽性
全体の歌詞のテーマは「身近なことから世界的なことまで幅広い事柄」を対象にしている[7]。
「ALL INSTRUMENTS EXCEPT GUITARS by TETSUYA KOMURO」はギター以外の全ての楽器・ドラム・ストリングスを小室がシンセサイザー・コンピューターを駆使して演奏したという意思表示であり、その手法の集大成が本作のテーマでもある[12]。そこから派生して生まれたコンセプトは「最少人数のスタッフ、最少編成のパート、最先端の音作り」というものであり、その手法は視聴した石野卓球が「電気グルーヴと作り方が近かった」と驚いたという[13]。小室は「ダンスミュージックという枠に拘らず、今ある音楽ジャンルを全て押し詰めこんだ結果、日本人としての血・ナショナリティが出てしまったかもしれない」と振り返っている[7]。
「今までの評価に値するKEIKOの実力を引き出し、証明する」「日本人としてのメンタリティがあるMARCが英語を歌うことで、外国語が生活の中に普通にあり、外国語に対して日本人だから劣っている訳ではないことを感じて欲しい」というメンバーのプロモーションの意味合いも込められているため[14]、小室は「『2人はここまで表現出来るんだよ』というのを具象化できたアルバム」と振り返っている[15]。
アートワーク
「コンパクトなCDだから、ポスターで包んでしまおう」という意向から、ポスターを広げると中からCDケースが現れる仕組みになった。梱包が手作業だったため、プレス工場からは泣きのクレームが入った[16]。
批評
専門評論家によるレビュー | |
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レビュー・スコア | |
出典 | 評価 |
CDジャーナル | 肯定的[17] |
音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「KEIKOのエモーショナルでソウル風な歌い方を聴いた時には、ダンスやヒップホップという枠以上の奥深さを感じてしまった」[17]と評されている。
三田格は、「時代を謳歌し、堪能している様な曲は1曲もない」「何故かYMOの『BEHIND THE MASK』が2度もモチーフとして顔を出している」「全体はアース・ウィンド・アンド・ファイアーやソフト・セルの作風を1986年頃のストック・エイトキン・ウォーターマン調にまとめたという感じ。特に『Regret of the Day』は『Secret Life』そのまんま」「ビーイングブームやDREAMS COME TRUEよりも派手に騒がれている気がするのは、サウンドプロダクションが生演奏ではないのにやたら売れたということが最大の理由なんでしょうか?」と評している[18]。
収録曲
全作曲・編曲:小室哲哉
- GIVE YOU(1:13)
- Feel Like dance(5:54)
- GONNA BE ALRIGHT(5:04)
- 作詞:小室哲哉 Rap詞:MARC
- 全体のコンセプトは「ネオ歌謡曲」[15]。
- 音色のコンセプトは「4つ打ちじゃなくても楽しめる様に音数が少なく、キック・ベース・リズム・ピアノで構成されたシンプルな構成」を目指した[2]。
- 歌詞のテーマは悪ぶった時のKEIKOをイメージし、「姉さん女房的な主人公がダメ男に発破をかけてて、それでも順風満帆」というポジティブな内容を表現し、KEIKOには「下世話な感じで歌って」と指示し、[2]これを切っ掛けにKEIKOは生まれて初めてラップに挑戦した[7]。
- 小室は「潔く歌いきるのが大事で見事歌いきってくれた」と賞賛し、KEIKOは「先生、私の昔の恋愛見てました?」と突っ込んだ[15]。
- DEPARTURES(5:24)
- Regret of the Day(5:18)
- Joy to the love(4:15)
- 作詞:小室哲哉
- 2ndシングル
- TOYOTA『サイノス』CMソング
- SWEET PAIN(5:09)
- 作詞:小室哲哉
- 3rdシングル
- 歌詞カード等に記載は無いもののアルバムヴァージョンであり、CDの外装フィルムに貼られたシールには(NEW VERSION)と表記されている。
- TDK『ミニディスク』CMソング
- Always Together(5:15)
- 作詞:小室哲哉 Rap詞:MARC
- テーマは「ヨーロッパの影・重さ・暗さ」としている[2]。
- Precious Memories(6:15)
- FREEDOM(5:13)
- 作詞:小室哲哉&MARC
- 5thシングル
- 歌詞カード等に記載は無いもののアルバムヴァージョンであり、CDの外装フィルムに貼られたシールには(NO EDITED)と表記されている。
- KDDCMソング
- MUSIC TAKES ME HIGHER(4:21)
- LIGHTS OUT(3:36)
- インストゥルメンタル
- 小室は「始めて自分の表現しようとすることが、他の楽器を絡めずにピアノだけで出来た曲」と評している[2]。
参加ミュージシャン
- ギター:松尾和博
- ミキシング:デイヴ・フォード
カバー
- いずれも、「#globe20th -SPECIAL COVER BEST-」に収録されている。
楽曲 | アーティスト | 備考 |
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「Feel Like dance」 | 小室哲哉 | ピアノソロ |
「DEPARTURES」 | HYDE | |
「Joy to the love」 | AAA | |
「SWEET PAIN」 | lol | |
「Precious Memories」 | 坂本美雨 | 徳澤青弦プロデュース |
「FREEDOM」 | Da-iCE |
脚注
- ^ 第11回日本ゴールドディスク大賞
- ^ a b c d e f g h i j k l m n ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1996年5月号「globe The Completely Free Triangle」87P-89Pより。
- ^ レコード産業界の歴史
1990年~1999年。
- ^ globeアルバム「およげ!たいやきくん」抜く!
、ZAKZAK、1997年4月26日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
- ^ 第38回日本レコード大賞
- ^ ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1996年6月号「globe globeという名の未知数」31Pより。
- ^ a b c d e f g ダイヤモンド社刊『FM STATION』1996年5月20日号「INTERVIEW→globe」24P-25Pより。
- ^ globe 20周年イヤーを記念したハイレゾリリース&期間限定フラッシュプライス!
e-onkyo music NEWS 2016年12月22日閲覧
- ^ ソニー・マガジンズ刊 『ギターブック』 1996年7月号「globe They are going to be THE GREATEST 3」21Pより。
- ^ 「第143回 伊東 宏晃 氏 エイベックス・マネジメント株式会社 代表取締役社長 | Musicman-NET
」より。
- ^ リットーミュージック刊『ギター・マガジン』2019年11月号123P-124Pより。
- ^ 講談社刊『月刊現代』1997年7月号240Pより。
- ^ 小室哲哉に聞く、globe 1stアルバムが当時最速に400万枚を突破した理由 - otoCoto
より。
- ^ 角川書店刊「CDでーた」1996年4月20日号「globe 新曲『FREEDOM』&新作『globe』発表 自由で未知な可能性を秘めて!!」121P-123Pより。
- ^ a b c d e 角川書店刊「CDでーた」1996年6月5日号「globe 1stアルバム『globe』300万枚突破記念インタビュー Respiration~呼吸~」16P-19Pより。
- ^ ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1997年9月号「聴く前に眺めよ!! ジャケットはひとつのアートなり ‐プロダクツの顔からサウンドが見えてくる‐」43Pより。
- ^ a b “globe / globe
”. CDジャーナル. 音楽出版. 2019年8月23日閲覧。
- ^ INFAS publications刊「STUDIO VOICE」1996年9月号「『小室哲哉』という名の空虚なマジョリティ “豊かさを楽しむ勇気”は、そこにあるのか?」36P-37Pより。
- ^ “globe DISCOGRAPHY
”. avex globe. 2018年12月3日閲覧。
ソース
情報の状況: 19.07.2021 10:07:11 CEST
ソース: Wikipedia (著者 [バージョンヒストリー]) テキストのライセンス: CC-BY-SA-3.0. 個々の画像やメディアの作者やライセンスは、キャプションに記載されているか、画像をクリックすると表示されます。
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